水と健康

はじめに
恒温動物である人間は、水なしでは生きていけません。体温を37℃に維持するための水(発汗作用)として、酸素と栄養を全身に運搬する血液として、尿を出す水として、成人では1日に必要とする水の量は約2リットルとされています。昔、日本では井戸水などの地下水を飲むのが当たり前でしたが、環境汚染が進むにつれて都会では地下水が飲めなくなりました。一方、水道水は安全かというと、日本では海外と違って、水道水の微生物を殺菌するために大量の塩素が“無制限”に投入されています。この塩素が水道水を不味くし、人間の体を蝕んでいることが分ってきました。そのため日本では水道水よりペットボトルの水の方が安全で美味しいという認識が広まり、1990年頃からミネラルウオーターの消費量が急激に増えています。環境汚染は今後も増える事が予測されることから、ミネラルウオーターの需要はさらに増えると思われます。私は産科医として水道水が健康に害なく、美味しく、赤ちゃんにも安全に飲めるようにするためにも、我々大人は未来の子供たちのために自然環境保護にもっと力を入れるべきと考えます。


1.水の良し悪しについて
2.自然治癒力を高めるために
3.「溶存酸素濃度」の役割
4.冷え性は腸内環境を悪くする
5.赤ちゃんに学んだ自然治癒力とは
6.天使の希水が5年間 腐らない理由
7.非加熱天然水にこだわる理由
8.母乳と免疫について

1.水の良し悪しについて
水の良し悪しは、水中に溶けている酸素の量(溶存酸素量)が多いか、少ないかで決まります。水は溶存酸素量が多いほど美味しく、長持ちします。健康面においても溶存酸素濃度の高い水は、腸内細菌叢(腸内フローラ)を活発化させ、善玉菌を増やし免疫力を高める作用を持っているからです。
溶存酸素量の多・少は、植物(花・野菜など)や魚介類などの生育にも影響を及ぼします。人間(大気中)・植物(土中)・魚介類(水中)の全ての生き物は酸素を取り入れ発育しています。水は全ての生き物を元気に発育させるために不可欠です。ところが、水に溶けている溶存酸素量が少なければ植物の発育は悪く、魚も生きていけません。幸いに、水中の溶存酸素量を増やしてあげれば、魚は元気を取り戻し再び泳ぎ始めます。人間も溶存酸素を多く含んだ水を飲むと、植物や魚と同じ様に元気を取り戻します。溶存酸素量の多い生きた水は腸内細菌叢(腸内フローラ)の善玉菌を増やし、腸での免疫力を高め自然治癒力を増すからです。免疫力をたかめるためには、まず腸(免疫工場)の血流を悪くする冷え性を防ぎ、腸内細菌叢(善玉菌と悪玉菌)のバランスを整えることが何より大切です。

2.自然治癒力を高めるために 
植物(花・野菜)・魚介類などの全ての生き物は、水なしでは生きていけません。
生き物が健康を維持し病気を防ぐためには、「溶存酸素濃度」が高い非加熱天然水である事が望まれます。人間は大気中から酸素を取り入れ、血中の酸素濃度を正常に維持しています。しかし、免疫をつくる腸内細菌叢(善玉菌と悪玉菌)のバランスが崩れ、悪玉菌が腸壁を覆えば免疫力(自然治癒)は低下します。つまり、血中の酸素濃度が正常であっても、腸内に悪玉菌が増えれば人間は病気に陥り、また病気からの回復が遅れます。肺から取り入れる酸素は主に呼吸循環を動かすのに不可欠ですが、腸内細菌叢(腸内フローラ)を元気にする為には、飲料水に含まれる溶存酸素濃度が高い水の方がより効果的と考えます。

人間が元気に長生きする為には、先ず、冷え性をなくす事です。冷えの改善によって消化管血流を正常に維持し、腸の機能をいかに正常に働かせるかが病気を防ぐためのコツです。次に、植物・魚介類と同様に、人間も溶存酸素の多い生きた非加熱天然水を飲用されることが大事です。とくに、潰瘍性大腸炎などの便秘・下痢を繰り返す人や抗生物質・抗がん剤などを飲まれている方、免疫力が低下している入院中の患者さんには腸の働きを正常化させるために、冷え性改善と溶存酸素の多い生きた無菌の非加熱天然水を飲用され自然治癒力を増して欲しいと願います。

3.「溶存酸素濃度」の役割
夏、ダムや池の水温が上昇すると「溶存酸素量」が減少し、魚が浮かんできます。薪ストーブの酸素量を減らしていくと、火はやがて消えます。しかし、人間は、水(ミネラルウオーター)やストーブの中の溶存酸素量が多いか少ないかを肉眼で見分ける事が出来ません。水中に溶けている酸素量が少なくなると魚が浮かんでくる様に、人間が健康に生きていくためにミネラルウオーターの「溶存酸素量」の多・少を知ることは、健康を維持するためにも重要です。溶存酸素を多く含んだ生きた非加熱の天然水は腸の粘膜を健康にすると報告されています。つまり、非加熱の天然水は腸(免疫工場)の腸内細菌叢(腸内フローラ)を活発化させ、善玉菌を増やし、免疫力を高める作用があるからです。
ミネラルウオーターに「溶存酸素量」が多いか少ないかは、一般消費者には分かりません。消費者は「溶存酸素量」が少なくなった水を何も知らないで買って飲まれているのではないでしょうか。「溶存酸素量」が少なくなった水は、水中に酸素が少ないだけでなく、細菌が増殖している危険性があります。そんな水を飲んでも、美味しくありません。それどころか、溶存酸素量の少なくなった水を毎日飲むと、人間の臓器(腸)も、植物や魚と同じ様に溶存酸素量の減少に腸や皮膚は悲鳴を上げている筈です。魚を「溶存酸素量」の多いきれいな水に入れると元気を取り戻すように、人間も「溶存酸素量」の多いきれいな水を飲むことによって免疫力が活性化され、腸・肝臓・皮膚・骨・毛髪などの全ての臓器は健康と若さを取り戻してくれるのです。

4.冷え性は腸内環境を悪くする
近年、冷え性のヒトが増えていますが、手足が冷たい人は腸の血流が悪く、腸内フローラを構成する善玉菌と悪玉菌のバランスを壊していると思われます。冷え性は万病の元の諺がある様に、善玉菌を増やし免疫力を活性化させるためにも冷え性対策を怠ってはいけません。溶存酸素を多く含んだ生きた非加熱の天然水を飲み、バランスの良い食事をし、冷え性を防ぐ工夫をすれば自然治癒力はアップします。
冷え性対策に最も効果があるのは「水中散歩」・「睡眠」・「お風呂」です。冷え性を悪化するのが、タバコ・長時間のデスクワーク・運動不足・睡眠不足・低温環境(薄着)です。冷え性対策の一番は、意外に知られていませんが “水中散歩”です。温水プールで1時間 水中歩行をするだけで腸の血流がよくなり便通も改善します。血圧も下がります。週に1〜2回、温水プールを散歩されると、一ヵ月以内に冷え性は治っている筈です。長時間のデスクワーク・タバコ・睡眠不足・ストレスなどを見直さないかぎり、冷え性は改善しません。冷え性が慢性化すると腸の血流量が減少し、腸壁には悪玉菌が増え、便秘・下痢などの症状、慢性化すれば潰瘍性大腸炎・大腸がんのリスクを増やします。冷え性と腸内環境を改善することが腸内フローラ(善玉菌)を増やし、免疫力をアップすると確信しています。

5.赤ちゃんに学んだ自然治癒力とは
赤ちゃんや病人にとって水不足(脱水)はとても危険です。とくに赤ちゃんは80%が水で構成されているからです。私(産科医)は、赤ちゃんや病人にとって、溶存酸素が多い非加熱天然水とバランスのとれた栄養の組み合わせは、病院での点滴や薬以上の働きをすると考えています。
赤ちゃんが飢餓(低栄養)に陥ると、脱水・飢餓熱・重症黄疸を引き起こします。飢餓は人間の免疫工場である腸の腸内細菌叢(腸内フローラ)の善玉菌の形成にも悪影響を及ぼします。薬剤も、腸内細菌叢(腸内フローラ)の善玉菌の助けが無ければ薬の効果が十分に発揮されません。冷え症で腸の血流が悪く、便秘をされている高齢者の場合はなおさらのことです。私が赤ちゃん(生後1週間)・高齢者・病気で入院中の方々の冷え性を防ぎ、非加熱の天然水を推奨する理由は、腸内細菌叢(善玉菌)を増やすことによって免疫力をアップ、院内感染などの感染症の予防にも役立つと期待しているからです。
私は1983年の開業(産婦人科)以来、当院で出生した15000人の全ての赤ちゃんに対して、母乳がでない生後5日間を人工乳で補足してきました。赤ちゃんの黄疸は出るのが当然と思われていますが、当院では治療が必要な重症黄疸は全くと言っていいほど出ません。当院(久保田産婦人科医院)は世界で一番 重症黄疸の赤ちゃんが少ないと自負しています。また感染症にかかり抗生物質で治療した赤ちゃんもいません。人間が元気に長生きするためには、「生きた水」・「バランスのとれた食事」、そして腸の血流を悪くする「冷え性」を防ぐことが病気を防ぐためにいかに大事かをママと赤ちゃんに学びました。この事は赤ちゃんに限ったことではなく、施設の高齢者・病気を患っておられる入院中の患者様にとっても同じ事が言えます。人間は、赤ちゃんも、高齢者も、免疫と云う自然治癒力をもっています。薬に頼るだけでなく、己の免疫力を高め自然治癒力を増すための工夫(生活習慣)が元気に長生きするための秘訣と確信しています。

■近年、腸を健康にすることが免疫力を高めてくれると話題になっています。藤田 紘一郎 医師の書籍『体をつくる水、壊す水』(ワニブックス 刊)を引用すると、『腸を健康にするには、乳酸菌をとったり、食物繊維が豊富な野菜を食べたりと色々な食材が紹介されていますが、意外に知られていないのが、生きた非加熱の生水が腸の働きをよくしてくれることです。腸を健康にすれば、免疫力もアップし、体は生き返ってきます。日本では衛生面での規制が厳しく、加熱殺菌をしているお水がほとんどです。しかし、加熱殺菌してしまうと、水の構造が変化し、体の働きを調整する生理活性能力が失われてしまうのです』 引用おわり。

6.天使の希水が5年間 腐らない理由
溶存酸素(水に溶けている酸素の量)には、水の自浄作用が有ります。水中(池・ダム)の溶存酸素量が減少すると水は腐敗します。池・ダムにはたくさんの細菌がいるからです。同様に、ペットボトル(ミネラルウオーター)に細菌が潜んでいたとすると、菌は水中の溶存酸素を消費し、増殖を始めます。つまり、水中で「菌の繁殖」と「溶存酸素量の減少」の悪循環が進むと、水の腐敗が一気に加速します。水が腐る理由は、水中(ペットボトル)に細菌が潜んでいた証しです。もし、原水に細菌がいなければ菌の増殖はあり得ません。細菌がいなければ菌の増殖もなく、溶存酸素量は減少しません。天使の希水が5年経っても細菌が出ない理由は、@細菌(原水・製品)がゼロ、A加熱殺菌をしていない、B溶存酸素が減少しない、Cボトリングがクリーンルームで清潔に行われた、以上の4点が長期保存(5年)を可能にしたと考えます。

7.非加熱天然水にこだわる理由
水・野菜・魚を冷蔵庫に入れ保管すると長持ちし、室温(高温)で保管すると腐敗が早くなります。水温・室温が上昇すると溶存酸素濃度が減少するからです。水中に菌が潜んでいたとすると、菌は水中の酸素を消費し確実に増殖します。水中の溶存酸素量は細菌が増殖するにつれて減少します。ところが、溶存酸素の少ない水は腐敗を早めるだけでなく、腸内細菌叢の悪玉菌を増やし、免疫力を低下させます。水中(ペットボトル)の溶存酸素量を減少させない為には、原水が「無菌」であること、加熱殺菌をしていない水であることが条件です。

■加熱殺菌法の短所
加熱殺菌法の短所は、加熱によって溶存酸素量が減少する事、加熱殺菌は全ての菌に対して万能ではない事です。芽胞形成亜硫酸還元嫌気性菌やウェルシュ菌(悪玉菌)などの様に、加熱しても殺菌できない耐熱性の菌(芽胞)が潜んでいるからです。ウェルシュ菌、セレウス菌、ボツリヌス菌の芽胞は耐熱性があり、加熱では芽胞を死滅させることは出来ません。これらの耐熱性の嫌気性菌は酸素の少ない環境で繁殖します。つまり、加熱殺菌されたミネラル ウオーターは耐熱性の菌がいるかぎり、時間が経つと腐敗します。加熱殺菌法は全ての菌に対して万能ではないことから、非常用の長期保存水には適していないと思われます。元気なヒトは水中に少々細菌が入っていても問題になる事はありませんが、赤ちゃんや入院中の免疫力が低下した患者さんには、無菌の非加熱天然水を飲んで頂くことをお勧めします。健康管理の基本は冷え性対策と腸内環境を整え、腸内フローラに善玉菌を増やし、便秘・下痢を治すことが大事です。

8.母乳と免疫について
産科医である私が、母乳が出ない時期、とくに生後5日間の赤ちゃんに人工ミルクをたっぷり飲ませる理由は、赤ちゃんを飢餓(低栄養+脱水)から守るためです。飢餓は赤ちゃんを新生児低血糖症・重症黄疸に陥らせるだけでなく、腸内細菌叢(腸内フローラ)を悪玉菌に占められ、免疫力を低下させる危険性があるからです。赤ちゃんに免疫力をつけるために母乳(初乳)を飲ませる事は大事ですが、生後3日間、母乳は殆んど出ていません。母乳がほとんど出ていない時(特に生後3日間)、母乳以外の糖水・人工ミルクを全く飲ませない「完全母乳」で哺育すると、赤ちゃんは飢餓に陥り腸内フローラは悪玉菌が優位になり、免疫力は低下します。同時に、飢餓は胎便の排泄を遅くし、重症黄疸を増やします。事実、当院では、人工ミルクを飲ませた赤ちゃんに治療を必要とする重症黄疸は殆ど出ません。理由は、水と栄養が十分で、胎便が24時間以内に出てしまうからです。また当院で感染症にかかり抗生物質を使った赤ちゃんが出なかった事は、赤ちゃんの腸内フローラは善玉菌に覆われ病気(感染症)に対する免疫力が活性化し、自然治癒力が増したためと考えています。アフリカの難民の子どもたちが、今でも感染症で亡くなっていますが、飢餓が免疫力を低下させている可能性があります。赤ちゃんや入院患者さんにとって一番怖いのは、冷え性と飢餓(低栄養+脱水)に陥らせ免疫力を低下させることです。
私が赤ちゃんに完全母乳ではなく人工ミルクを飲ませる理由は、母乳が出ていないときの完全母乳が赤ちゃんの免疫力を低下させる危険性があるからです。母乳の出が悪い時期、とくに生後1週間の完全母乳哺育で赤ちゃんが飢餓に陥れば、赤ちゃんは腸内フローラ(善玉菌と悪玉菌)のバランスを壊し、腸壁に悪玉菌を増やしていると思われます。赤ちゃんに限らず、入院中の抗生物質を飲んでおられる術後患者・免疫力が低下した癌治療中の患者さんは、腸内フローラに善玉菌を活発化させ自然治癒を増すためのケアーが必要です。薬は自然治癒力(患者さん)の協力なしでは、満足いく効果を発揮できません。ママと赤ちゃんに学んだ元気で長生きの秘訣とは、「冷え性を改善」・「腸内フローラに善玉菌を増やす」・「バランスのとれた食生活」・「適度の運動」・「快適な環境温度」に心掛けることです。

平成30年1月9日

久保田生命科学研究所
代表 久保田史郎
携帯 090-1178-7024