初期嘔吐について
 初期嘔吐に代表される新生児早期の哺乳障害は、体温と密に関連していることが体温と新生児の観察によって明らかになりました。すなわち、哺乳動物としての”食欲”を示すと思われる吸啜反射(sucking reflex)は出生直後の低体温の時期では乏しく、低体温から恒温状態へと体温が上昇するにつれてその反射が強くなる傾向が見られました。また、中枢と末梢の深部体温差が大きいほど”嘔吐”も多く観察されました。生後5時間目になっても末梢深部体温が32.0℃以下の症例は、吸啜反射の低下や嘔吐などの哺乳障害多く認められました。体温と新生児の臨床像(行動)の観察から出生後体温下降が著しいほど、嘔吐などの哺乳障害つまり消化器系統の以上が多いことに気づいたのです。
 一般に、新生児早期の”初期嘔吐”は生理的現象と考えられていますが、新生児早期の哺乳障害は出生直後の体温管理(保温)を上手に行えば解決できる可能性があることが示唆されたのです。