予測していた発達障害の増加 |
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久保田史郎の「早期新生児の低血糖症予防」に関する研究歴:
1970年:東邦大学医学部卒、九州大学麻酔科学教室入局(1970年〜1972年)
1972年:九大産婦人科へ転科、産婦人科では周産期医療を専門とする。
1974年:麻酔科の視点から、分娩を境とした環境温度の変化が新生児の体温調節機構に及ぼす影響について研究を始める。
1981年:研究中に偶然にも正常成熟新生児が体温調節機能不全に陥った低血糖症の1例に遭遇した。低血糖症の原因は何か、どうすれば低血糖症を予防できるかについて研究した。
・体温調節機能不全に陥った原因を調べた・・・重度の低血糖症では生命維持を司る自律神経の働きが機能不全に陥り、無脳児と同様に体温調節機構(放熱抑制+産熱亢進)が作動しない事が分った。
1975年後半:日本でも母乳促進運動が叫ばれ完全母乳哺育が流行し始めた。
・将来、日本では、低血糖症による脳神経に障害を持った児が増えると予測した。
1983年の開業以来、当院では低血糖症を防ぐ管理を行ってきた。低体温予防(保育器内収容)と生後1時間目からの超早期混合栄養法によって、低体温症、低血糖症、重症黄疸をほぼ完全に防止した。
1989年:日本で赤ちゃんに優しい病院(BFH),が誕生した。
1993年:WHO/ユニセフの「母乳育児を成功させるための10カ条」 を厚労省が後援し始めた。日本母乳の会がBFHを認定し、厚労省の後援もあり母乳促進運動が積極的に進められた。
1990年後半:福岡市では原因不明の発達障害(自閉症)が驚異的に増え始めた。
・自閉症は遺伝的疾患と考えられている為か、精神科・小児科・生理学者が中心になって調査研究されているが、周産期側からの研究は未だ何も行なわれていない。
・発達障害は完全母乳が始まって数年後から急激に増えていることに着眼、原因を低血糖症と推察した。
2003年:WHOはカンガルーケアの手引を発刊、その後日本では出生直後のKCが急速に普及した。近年、KC中に心肺機能停止の医療事故が繰り返されている事がこども未来財団の調査(平成20年)で分った。
2004年:発達障害児の発生頻度は、地域によって差があることが分った。
そのグラフはこちら その詳細データはこちら
2008年:発達障害児の発生頻度に分娩施設間で差がある事が福岡市立こども病院の調べで分った。この調査結果は、発達障害は遺伝性疾患ではなく、分娩施設間の新生児管理法の違いによって生じている事を示唆している。発達障害がダウン症の様な先天的疾患ならば、分娩施設間で発生率に差がある事は無いからである。
2010年:カンガルーケアが普及した時期に一致して、発達障害はさらに増加している事が福岡市の調査で分った。出生直後のカンガルーケアの普及で低体温症、低血糖症、低栄養の赤ちゃんが増えた事に起因していると推察した。
・発達障害の原因は、新生児早期の低血糖、低栄養、重症黄疸が最も疑われた。
・厚労省は、現行の母乳促進運動(カンガルーケア+完全母乳)を見直し、周産期側からの発達障害の調査研究班を早急に立ち上げるべきである。
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