新生児温め黄疸防ぐ 福岡の医院、発症率低減
 

 
発刊にあたって
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新生児の黄疸が自閉症と関わっている

Dr Maimburg and Dr Levy have disclosed no relevant financial relationships.
Pediatrics. Published online October 11, 2010
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(下記論文は上記リンク先の英文を小児内分泌科医が訳したものです。)

新生児黄疸は、出生後1週間で正期産児の60%に起こる。
1994年〜2004年の期間にデンマークで生まれた733,826人の児童で、黄疸になり、精神発達障害を認めた例を調査した。新生児期に黄疸を認めた後に精神発達障害を認めるリスクが黄疸を認めない例に対して56%もリスクが上昇することを突き止めた。 (hazard ratio [HR], 1.56; 95% confidence interval [CI], 1.05 - 2.30) and 88% (HR, 1.88; 95% CI, 1.17 - 3.02).

幼児期自閉症のリスクは67%増加であった。 (HR, 1.67; 95% CI, 1.03 - 2.71). このリスクは経産婦児(第2子以降)ほど高く、(HR, 2.71; 95% CI, 1.57 - 4.66) 10月から3月生まれで高かった。 (HR, 2.21; 95% CI, 1.24 - 3.94).

幼児期自閉症のリスクが下がる因子としては、初産婦児(第1子) (HR, 0.58; 95% CI, 0.18 - 1.83) 4月から9月生まれ (HR, 1.02; 95% CI, 0.41 - 2.50)であった。そして、同じようなリスク変化が全ての自閉症スペクトラムで認められた。



小児内分泌科医の意見
現場では早期退院を希望される方が増えています。その方々のほとんどがビリルビン値は上昇傾向で退院しています。そのような現状と、本論文を重ね合わせると今後多くの自閉症児が増えることが予測されます。これを予防するためには、光線療法の基準を引き下げるか、全例退院2日前から光線療法を行うということが考えられます。母乳栄養が見直され、黄疸になりやすい児は増えています。母乳性黄疸はリスクが低いのでしょうか。アンバンウンド ビリルビンが測定できる施設が少ない以上、測定できる施設で大規模研究が組まれることを望みます。

 
重症黄疸の原因と予防について
1、生理的黄疸と病的黄疸の違い
胎児期の赤血球が壊れる際にできるビリルビンによって皮膚などが黄染することを新生児黄疸と云う。黄疸はすべての新生児に多かれ少なかれ認められる。生後3〜4日目に可視黄疸と呼ばれる目に見える皮膚の黄染が顔に見えはじめ、次第に全身に拡がり、生後5〜7日目頃をピークとし自然に消失するのが一般的。それを生理的黄疸と呼ぶ。
しかし、何らかの理由でビリルビン濃度が増え病的な「重症黄疸」になれば、脳の神経細胞が障害され発達障害の原因となる。動物実験では生後7日前後にビリルビンが小脳に侵入すると、小脳の発育がほとんど停止するとの報告がある。それ故に、人間でも重症黄疸を防ぐための医学的管理が重要である。ところが新生児黄疸は生理的現象と安易に考えられているために重症黄疸を未然に防ごうとする動きは全くない。近年、日本では発達障害児が驚異的に増加しているが、重症黄疸を防ぐ医学的管理法を導入する事によって発達障害の増加に歯止めが掛かると期待される。

2、重症黄疸の発症機序 ービリルビンの産生と排泄―
ビリルビンのほとんどはアルブミンと強く結合している。アルブミンと結合したビリルビンを結合ビリルビン、アルブミンと結合していないビリルビンを非結合ビリルビンまたは遊離ビリルビン(Free Bn)と呼ぶ。
アルブミンと結合したビリルビンは肝臓でグルクロン酸抱合を受け水溶性の直接ビリルビン(抱合型Bn)となり、肝臓から腸管に排出される。腸管内に排泄された直接ビリルビンは腸内細菌によって水酸化され、より水溶性の高いウロビリン・ウロビリノーゲンに変えられ大部分は便中に排泄される。しかし胎便排出が遅れると、便中のビリルビンは腸管より再吸収(腸肝循環)され、再び血中に戻り、血中ビリルビン濃度を上げる。つまり、胎便排出の遅れは新生児にとって重大な問題である。

■遊離ビリルビン(Free Bn)は神経毒
ビリルビンの中で核黄疸(脳障害)を引き起こすのはアルブミンと結合していない遊離ビリルビンである。遊離ビリルビンは脳細胞の脂質、とくに大脳のガングリオンとの親和性が高く、特異的に中枢神経細胞を侵す。

■飢餓が遊離ビリルビンを増やす
新生児の血液は特に飢餓状態で壊れ易いのが特徴。ビリルビンのほとんどはタンパク質と結合し肝臓で無毒化され腸管内に出て便として排出される。ところが、飢餓状態(栄養不足+脱水)の赤ちゃんは、脂肪が分解され、代謝産物である遊離脂肪酸(FFA)が血中に増える。遊離脂肪酸はビリルビンよりもタンパク質と強く結合するため、飢餓状態ではタンパク質と結合できない遊離ビリルビンが増加する。神経毒を持った遊離ビリルビンは血液-脳関門を通り、脳に運ばれ脳神経細胞に害を与える。完全母乳が怖いのは遊離脂肪酸を増やし、神経毒を持った遊離ビリルビンが脳神経細胞に害を及ぼすからである。難聴の原因もその一つである。

3、発達障害児防止策
飢餓(母乳分泌不足)に伴う遊離脂肪酸の上昇を防ぎ、胎便を早く出し、胎便中のビリルビンの再吸収を防ぐことが重症黄疸を未然に防ぐコツである発達障害は完全母乳が普及し始めた数年後から急激に増加したが、完全母乳により飢餓の赤ちゃんが増え、発達障害の危険因子(低血糖症・重症黄疸・脱水)が増加した事も発達障害児増加の一因と考えられる。
新生児黄疸は出て当たり前と安易に考えられているが、治療を要する重症黄疸は飢餓(栄養不足+脱水)と便秘(胎便排出遅延)が原因である事が当院の調べで分かっている。母乳分泌に乏しい生後数日間の赤ちゃんの飢餓を如何にして防ぐかが赤ちゃんを発達障害から守る鍵と考える。
 平成25年6月26日
久保田史郎

温めるケアで重層黄疸激減

新生児黄疸で起こる脳障害の研究