リビング福岡 10月20日掲載記事

質問
赤ちゃんはなぜ黄疸(おうだん)がでるのですか?

解答
 胎児の赤血球は胎盤を介しての呼吸がしやすいヘモグロビンFからできていますが、出生後は肺で呼吸するため、ヘモグロビンFを壊し大人と同じヘモグロビンAに置き換える必要があります。この時ビリルビンができます。出生後3〜5日して赤ちゃんが黄色くなるのは、増えたビリルビンが皮膚を通して見えるためです(黄疸)。
 ビリルビンは脂肪の多い脳の細胞などに結合しやすく、その機能を障害します。もしビリルビンが多い状態(重症黄疸)が長く続けば、多くの脳細胞が障害され脳性麻痺や難聴の原因となります。
 出生直後から2日以内に栄養不足があると赤ちゃんの黄疸が強くなりやすいことがわかりました。その理由は、(1)ヘモグロビンFの分解酵素の働きが強くなり赤ちゃんの赤血球が早く壊れる、(2)栄養不足の状態では赤ちゃんの肝臓機能が低下し、ビリルビンの無毒化が阻害される、(3)経口摂取量が少ないため胎便(ビリルビンを多く含んだ胎児の便)排泄が遅れビリルビンが再吸収される、などのためです。

赤ちゃんの黄疸は生理的に許される軽症のものから治療が必要な重症黄疸まで様々ですが、黄疸の強さは赤ちゃんの栄養状態の善し悪しを反映していたのです。