2001年 4月21日 西日本リビング新聞社 リビング福岡 掲載記事
「赤ちゃんとママの部屋」
Q: 妊娠中に太ると難産になりやすいと言われていますが、どうしてですか?妊娠中の食事について教えてください。
 
(回答者 久保田 史郎)
A:  お産は少し曲がったパイプ(産道)の中を、ボール(赤ちゃんの頭)を押し出す(陣痛)作業ですから、ボールが小さければ軽く押すだけでよく(安産)ボールが大きければ強く長く押す必要があります(難産)。これが、産道、赤ちゃん、陣痛がお産の三要素と呼ばれるゆえんです。パイプの大きさは身長に比例しています。低身長の妊婦さんにとっては肥満は特に大敵です。
 妊娠中の過度の肥満は、赤ちゃんの体重を増やすだけではなく、骨盤の中についた脂肪が産道を狭めるために、赤ちゃんが産道を通りにくく、子宮筋を疲弊させ、微弱陣痛と苦痛の時間を長引かせる難産効果しかありません。肥満はさらに妊娠糖尿病や、妊娠中毒症などの誘因ともなります。
 妊娠中は赤ちゃんのために2人分食べなさいと言っていたのは戦後の低栄養時代のことです。こんにちの飽食と運動不足、それに間違った生活習慣は妊婦さんを容易に太らせます。
 標準体重の人は妊娠期間中を通じて1900kcal/日、お産の時の体重増加は約8kgがベストです。妊娠前にすでに肥満の人は、妊娠中の体重増加に特に注意しましょう。それで、十分標準体重の赤ちゃんが生まれます。
 体重増加の著しい妊婦さんには朝食抜きで夜遅く食べる人が多いようです。妊娠中の食事は夕方早めにし、朝食は便秘を避けるためにできるだけ和食にしましょう。赤ちゃんの主治医はあなたです。