水中運動が安全で効果的な理由
妊婦さんが水中で安全に運動が出来るのは、
温水・浮力・水圧・水の抵抗、
つまり、水の特性が、
妊婦さんを安全に守っているからです。
■水中運動が安全な理由
 水中では、浮力が妊娠子宮(胎児)を上方へ持ち上げようと作用するため、子宮口は刺激されず、子宮収縮は起きにくい状態にあるといえます。一方、陸上での激しい運動は、予想以上の重力が妊娠子宮にかかるため、子宮口が刺激され子宮収縮を招き易くします。プール(温水)に入ると、浮力が働き体が軽くなります。胸の深さで体重の約3分の1、肩まで浸かると約10分の1の軽さになる事がわかっています。つまり、水中では、お腹の大きい妊婦さんほど浮力が増し、腰や膝に負担をかけないで安全に 運動(水泳、散歩)が出来るのです。
■水中運動の生理学的作用
1)水中では妊娠子宮(胎児)にも浮力が働くため、子宮収縮が起こりにくい
2)温水中(30℃)では筋緊張が緩和し、水の抵抗にも守られて全身運動がしやすい
3)水中では水圧がかかり、特に下肢から心臓へ戻る静脈血流量を増す
4)温水中でのゆっくりした散歩は、末梢血管を拡張し血行を良くする
5)利尿作用にすぐれているため、浮腫(むくみ)の予防と治療に著しい効果を示す

■陸上(重力)と水中(浮力)での運動効果の相違点
 水中運動の特徴は、体力アップは勿論の事、生理学的に末梢血管拡張作用、利尿作用、筋弛緩作用に優れている点が、陸上(重力下)での運動と大きく異なる点です。陸上での運動は、上記に示した水中運動と反対の生理学的作用 1)〜 5) を有しています。
 水中運動が妊婦にとって『安全で効果的な理由』、それは『水の特性』にその秘密があったのです。