赤ちゃんは暑さに弱い

環境温度と赤ちゃんの行動

 “寒い時”には泣くことによって危険信号を発し、自力で熱を産生し恒温状態を維持しようと努力する。しかし、“暑い時”の放熱効果は外界の環境因子(温度・湿度・風など)や大人の育児法(帽子、靴下などの着せすぎ)に影響される。つまり、熱産生は赤ちゃん自身が“能動的”に行っているのに対し、熱放散は他人まかせ“受動的”となってしまうことが多い。以上の理由から赤ちゃんは寒さに対するトラブルより暑さに対するトラブルが多い。




 環境温度が適当であるかどうかの判断は赤ちゃんの行動を注意深く観察し、さらに発汗状態や手・足の冷たさを知ることによって察知することができる。赤ちゃんの行動すなわちsleeping(静)やcrying(動)は体温調節機構の一端を表わしている。放熱と産熱のバランスの違いが“静”と“動”という赤ちゃんの行動パターンの違いを生み出している。出生直後の赤ちゃんの様に、身を縮め激しく泣き続ける時は寒いことが多い。手、足を伸ばし静かに眠り続ける時は寒くない。寒いときには手・足は冷たく、そして激しく泣くこと(熱産生)によって“寒い”という“危険信号”を出すが、寒くないとき特に温か過ぎる時は、顔色はピンクで手足も暖かく穏やかに眠り続ける。赤ちゃんは体温調節機能そのものが未熟なのではなく、極端な環境温度の変化に遭遇した時に、赤ちゃんが自分の意志でそれに対応することが出来ない点に注意しなければならない。一般に、赤ちゃんは“寒さに弱い”と思われているが、“暑さに弱い”と考えていた方が安全である。