粉ミルクの正しい作り方|70℃以上が必要な理由

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粉ミルクの正しい作り方

粉ミルクを作るとき
「なぜ70℃以上のお湯が必要なの?」
「熱湯では栄養が壊れない?」
「沸騰させてから何分待てばいい?」

と疑問に思う方もいるでしょう。

粉ミルクを70℃以上のお湯で作る主な理由は、お湯そのものを消毒するためだけではありません。

粉ミルクに含まれている可能性がある細菌を減らし、赤ちゃんの感染リスクを抑えるためです。

厚生労働省は、一度沸騰させた飲用水を使い、粉ミルクと混ぜる時点で70℃以上を保つよう案内しています。

この記事では、粉ミルクに70℃以上のお湯が必要な理由と、安全な作り方、正しい冷まし方、飲み残しの扱いまで分かりやすく解説します。

目次

粉ミルクの作り方で大切なポイント

最初に、特に重要なポイントを確認しておきましょう。

・調乳する前に手と調乳場所を清潔にする
・洗浄・消毒した哺乳びんを使う
・一度沸騰させた安全な飲用水を使う
・粉ミルクと混ぜる時点で70℃以上のお湯を使う
・粉とお湯の量を自己判断で変えない
・作ったあとは授乳できる温度まで素早く冷ます
・作ったミルクはできるだけすぐに飲ませる
・飲み残したミルクは保存せずに捨てる

「70℃以上」とは、赤ちゃんに飲ませるときの温度ではありません。

粉ミルクとお湯を混ぜるときの温度です。調乳したあとは、人肌程度まで冷ましてから飲ませます。

粉ミルクに70℃以上のお湯が必要な理由

粉ミルクは完全な無菌食品ではない

粉ミルクは、厳しい衛生管理のもとで製造されています。

しかし、製造工程で粉ミルクを完全な無菌状態にすることは困難です。また、開封後に計量スプーンや手、周囲の空気などを通して細菌が入る可能性もあります。

見た目やにおいに問題がなくても、細菌が含まれている可能性を完全には否定できません。

そのため、清潔な哺乳びんを使うだけでなく、調乳するときのお湯の温度も重要になります。

サカザキ菌などのリスクを減らすため

粉ミルクで特に注意したい細菌のひとつが、クロノバクター・サカザキ菌です。

以前は「エンテロバクター・サカザキ菌」と呼ばれていました。

サカザキ菌は乾燥した環境でも生き残りやすく、粉ミルクなどの乾燥食品から見つかることがあります。感染は多くありませんが、赤ちゃんが感染すると重症化する可能性があります。

特に注意が必要なのは、次のような赤ちゃんです。

・生後2か月未満
・早産で生まれた
・出生時の体重が少なかった
・免疫機能が弱っている
・医師から特別な栄養管理を指示されている

ただし、厚生労働省が示している70℃以上での調乳は、特定の赤ちゃんだけではなく、乳児用粉ミルクを使用する家庭全体に向けた基本的な方法です。

70℃以上で感染リスクを大幅に下げられる

WHOとFAOのリスク評価では、70℃以上のお湯を使って調乳することで、粉ミルクに含まれる可能性のあるサカザキ菌のリスクを大幅に減らせるとされています。

反対に、70℃未満のお湯では、粉ミルクに含まれる細菌を十分に減らせない可能性があります。

「赤ちゃんがすぐに飲めるから」という理由で、最初から40~50℃程度のお湯で粉ミルクを溶かすのは避けましょう。

70℃以上のお湯で粉ミルクを溶かし、そのあと授乳できる温度まで冷ますのが基本です。

70℃以上でも完全に無菌になるわけではない

70℃以上のお湯を使えば、すべての細菌が完全になくなるわけではありません。

調乳後に手や器具から細菌が入る可能性もあり、生き残った細菌が時間の経過とともに増えることもあります。

そのため、次の対策も同時に行う必要があります。

・手や調乳器具を清潔にする
・作ったミルクを長時間放置しない
・飲み残しを再利用しない
・授乳のたびに新しく作る

70℃以上のお湯を使うことは大切ですが、それだけで安全になるわけではありません。

粉ミルクの正しい作り方

ここからは、厚生労働省が公開している調乳方法をもとに、家庭での基本的な流れを説明します。

粉ミルクによって粉とお湯を入れる順番や量が異なる場合があります。実際に作るときは、必ず使用する商品の表示も確認してください。

1.調乳する場所をきれいにする

まずは、粉ミルクを作るテーブルやキッチン台を清潔にします。

台が汚れていると、哺乳びんや乳首、計量スプーンに細菌が付着する可能性があります。

食品の食べかすや水滴を残さず、清潔なふきんや使い捨てのペーパーなどで拭きましょう。

2.石けんと流水で手を洗う

粉ミルクや哺乳びんを触る前に、石けんと流水で手をよく洗います。

手のひらだけでなく、手の甲、指の間、指先、爪の周囲、親指、手首まで丁寧に洗いましょう。

洗ったあとは、清潔なタオルや使い捨てのペーパーで水分を拭き取ります。

3.洗浄・消毒した哺乳びんを用意する

哺乳びん、乳首、キャップなどは、使用後に洗浄し、月齢や製品の説明に従って消毒します。

消毒方法には、煮沸、薬液、電子レンジ専用容器などがあります。

ただし、電子レンジで使用できるのは、哺乳びんを消毒する専用器具です。調乳済みのミルクを電子レンジで温めるのは避けてください。

4.安全な飲用水を沸騰させる

日本国内では、通常の水道水を粉ミルクの調乳に使用できます。

やかんや鍋を使う場合は、水がしっかり沸騰していることを確認します。電気ケトルを使う場合は、自動的にスイッチが切れるまで沸かしてください。

市販の水を使う場合も、完全に無菌とは限らないため、調乳前に一度沸騰させるのが基本です。

市販水やウォーターサーバーの選び方については、関連記事「赤ちゃんのミルクに使う水の選び方」も参考にしてください。

5.粉ミルクの表示を確認する

使用する粉ミルクの容器に書かれている作り方を確認します。

特に確認したいのは、次の項目です。

・付属スプーン1杯で作れる量
・必要な粉ミルクの量
・必要なお湯の量
・粉とお湯を入れる順番
・対象となる月齢

粉ミルクを濃くしたり薄くしたりしてはいけません。

「よく飲むから粉を多くする」「便が硬いから水を多くする」といった自己判断での調整は避けてください。

6.70℃以上のお湯で粉ミルクを溶かす

粉ミルクの商品表示に従い、正確な量の粉とお湯を哺乳びんに入れます。

このとき重要なのは、粉ミルクと接触する時点で、お湯が70℃以上あることです。

厚生労働省の家庭向け資料では、一度沸騰させたお湯を30分以上放置しないよう案内しています。

ただし、30分待ってから使うという意味ではありません。

室温、お湯の量、ケトルやポットの保温性によって冷め方は異なります。時間だけで判断せず、70℃未満まで冷めないうちに使用しましょう。

温度が不安な場合は、調理用の温度計を使うと確認しやすくなります。

7.哺乳びんをゆっくり動かして溶かす

粉とお湯を入れたら、乳首やキャップを取り付けます。

やけどを防ぐため、清潔なふきんなどで哺乳びんを持ち、中身が均一になるようにゆっくり振るか、円を描くように回します。

勢いよく振ると泡が多くなることがあるため、粉がしっかり溶ける範囲でゆっくり混ぜましょう。

哺乳びん本体やキャップは非常に熱くなっていることがあります。素手で無理に持たないようにしてください。

8.流水や冷水で素早く冷ます

粉ミルクが完全に溶けたら、すぐに授乳できる温度まで冷まします。

哺乳びんに流水を当てるか、冷水または氷水を入れた容器に哺乳びんを浸してください。

このとき、冷却用の水が哺乳びんのキャップ部分より上に来ないようにします。キャップや乳首の周囲から、冷却水が入り込むのを防ぐためです。

冷ましている途中で哺乳びんを軽く回すと、中の温度が均一になりやすくなります。

9.授乳前に温度を確認する

哺乳びんの外側についた水を、清潔なふきんや使い捨てペーパーで拭き取ります。

そのあと、ミルクを手首や腕の内側に数滴垂らし、熱すぎないことを確認してください。

生暖かく感じる程度が目安です。

外側が冷えていても、中のミルクがまだ熱いことがあります。必ず中身の温度を確認してから飲ませましょう。

10.作ったミルクはできるだけすぐに飲ませる

粉ミルクは、できるだけ授乳の直前に作り、完成したら早めに飲ませます。

厚生労働省は、調乳後2時間以内に使用しなかったミルクは廃棄するよう案内しています。

ただし、赤ちゃんが一度口をつけたミルクを「2時間以内なら保存できる」と考えてはいけません。

赤ちゃんの唾液が哺乳びんに入り、細菌が増える可能性があるため、飲み残しは保存せずに捨ててください。

古いミルクを新しく作ったミルクに継ぎ足すことも避けましょう。

粉ミルクを素早く冷ます方法

70℃以上のお湯で粉ミルクを作ると、完成直後は赤ちゃんが飲めないほど熱くなっています。

安全に素早く冷ますには、次の方法があります。

流水を哺乳びんに当てる

哺乳びんにキャップを取り付け、側面や底に水道の流水を当てます。

乳首やキャップの接合部分には、できるだけ水をかけないようにしましょう。

哺乳びんをときどき回すと、内側のミルクが混ざり、全体を均一に冷ましやすくなります。

冷水や氷水を入れた容器に浸す

ボウルなどに冷水や氷水を入れ、哺乳びんの側面を浸します。

水面はキャップより下にしてください。

短時間で冷やせますが、哺乳びんの外側についた水が乳首に触れないよう、授乳前にきれいに拭き取りましょう。

電子レンジでは温度を調整しない

調乳済みのミルクを電子レンジで温めると、部分的に非常に熱くなる「ホットスポット」ができることがあります。

哺乳びんの外側は熱くなくても、中の一部だけが高温になり、赤ちゃんが口の中をやけどする危険があります。

調乳済みミルクの加熱には電子レンジを使用しないでください。

粉ミルクを作るとき、電気ケトルや電気ポットは使える?

電気ケトル

電気ケトルは粉ミルク作りに使用できます。

水を入れて沸騰させ、自動的にスイッチが切れたあと、70℃未満まで冷めないうちに使用します。

夜間の授乳に備えて長時間ケトル内に放置したお湯では、温度が足りない可能性があります。
授乳のたびに沸かすか、実際の温度を確認してください。

電気ポット

電気ポットも使用できますが、保温設定を確認する必要があります。

「70℃保温」と表示されていても、注いでいる途中や哺乳びんに入った時点で70℃を下回る可能性があります。

70℃ちょうどの設定は余裕が少ないため、使用するポットの説明書や実際の注水温度を確認しましょう。

また、ポット内部や注ぎ口を定期的に清掃することも大切です。

ウォーターサーバー

ウォーターサーバーは、すべての機種が粉ミルクの調乳に適しているわけではありません。

使用する場合は、次の点を確認してください。

・注水時のお湯が70℃以上ある
・メーカーが粉ミルクの調乳に使用できると案内している
・使用している水が飲用に適している
・給水口や受け皿を清潔に保てる
・フィルター交換やメンテナンスが行われている

「温水が出るから大丈夫」と判断せず、機種ごとの仕様を確認しましょう。

粉ミルクを作るときに避けたいこと

ぬるいお湯だけで粉を溶かす

最初から40~50℃程度のお湯で粉ミルクを溶かすと、粉に含まれている可能性のある細菌を十分に減らせません。

70℃以上のお湯で溶かしてから、外側から冷やしてください。

粉やお湯の量を目分量で決める

粉ミルクの濃さを自己判断で変えると、赤ちゃんが摂取する水分や栄養素のバランスが崩れる可能性があります。

付属のスプーンを使い、商品表示に書かれた量を正確に守りましょう。

作ったミルクを室温に長時間置く

調乳したミルクは、細菌が増殖しやすい食品です。

授乳時間よりかなり前に作って室内に置いておくことは避け、授乳の直前に作るようにしましょう。

飲み残しを取っておく

赤ちゃんが一度口をつけたミルクには、唾液を通して細菌が入る可能性があります。

「少ししか飲んでいないから」と冷蔵庫に入れておき、あとで温め直すのは避けてください。

哺乳びんを保温し続ける

調乳したミルクを保温器の中に長時間入れておくと、細菌が増えやすい温度が続く可能性があります。

作ったあとは早めに飲ませ、残ったものは捨てましょう。

粉ミルクの作り方に関するよくある質問

粉ミルクは必ず70℃以上で作る必要がありますか?

乳児用粉ミルクは、粉と混ぜる時点で70℃以上のお湯を使うのが基本です。

70℃未満では、粉に含まれている可能性のあるサカザキ菌などを十分に減らせない可能性があります。

ただし、アレルギー治療用などの特殊なミルクについては、作り方が異なることがあります。医師の指示と商品表示を優先してください。

70℃は沸騰後何分ですか?

「沸騰後何分で70℃になる」と一律には決められません。

お湯の量、容器、室温、季節によって冷める速さが異なるためです。

厚生労働省の資料では、沸かしてから30分以上放置しないよう案内されています。30分待つのではなく、70℃以上あるうちに使用してください。

正確に確認したい場合は、清潔な調理用温度計を使用しましょう。

沸騰直後のお湯を使ってもよいですか?

沸騰直後のお湯は70℃以上ですが、非常に熱く、やけどの危険があります。

哺乳びんや粉ミルクの商品表示を確認し、安全に取り扱ってください。温度を下げる場合も、70℃未満まで冷まさないようにします。

70℃のお湯で栄養が壊れませんか?

市販の乳児用粉ミルクは、商品に表示された方法で調乳することを前提として作られています。

栄養への心配から自己判断でお湯の温度を下げるのではなく、商品の表示を守ってください。

特殊な栄養成分を含む治療用ミルクなどは、通常の粉ミルクと作り方が異なる場合があります。

水道水で粉ミルクを作れますか?

日本国内の通常の水道水は、基本的に粉ミルクの調乳に使用できます。

一度沸騰させ、粉ミルクと混ぜる時点で70℃以上のお湯を使ってください。

ただし、自治体から濁り水、断水、水質事故などの案内が出ている場合は使用せず、自治体の指示に従いましょう。

湯冷ましだけで粉ミルクを溶かしてもよいですか?

70℃未満まで冷えた湯冷ましだけで粉ミルクを溶かすのは避けてください。

粉ミルクには、70℃以上のお湯が直接触れる必要があります。

粉を溶かしたあとは、流水や冷水を使って哺乳びんの外側から冷ますのが基本です。商品に別の作り方が記載されている場合は、その表示に従ってください。

粉ミルクは作り置きできますか?

家庭では、授乳のたびに新しく作るのが最も安全です。

作ったミルクを室温に置いたまま保管するのは避けましょう。厚生労働省は、調乳後2時間以内に使用しなかったミルクを廃棄するよう案内しています。

一度赤ちゃんが口をつけた飲み残しは、時間にかかわらず再利用しないでください。

夜中の授乳を楽にする方法はありますか?

夜間の授乳では、次のものを事前に準備しておくと作業を減らせます。

・洗浄・消毒済みの哺乳びん
・必要量を量った粉ミルク
・水を入れた電気ケトル
・冷却用のボウル
・清潔なふきんやペーパー

ただし、粉ミルクとお湯を混ぜた状態で長時間置いておくのは避けてください。

お湯が用意できないときや災害時には、開封してそのまま飲ませられる液体ミルクも選択肢になります。

粉ミルクの正しい作り方 まとめ

粉ミルクに70℃以上のお湯が必要なのは、粉に含まれている可能性のあるサカザキ菌などの感染リスクを減らすためです。

安全に粉ミルクを作るためには、次の流れを守りましょう。

・調乳場所を清潔にする
・石けんと流水で手を洗う
・洗浄・消毒した哺乳びんを使う
・安全な飲用水を一度沸騰させる
・粉と混ざる時点で70℃以上のお湯を使う
・商品表示どおりの濃さで作る
・完成後は授乳できる温度まで素早く冷ます
・作ったミルクはできるだけすぐに飲ませる
・飲み残しは保存せずに捨てる

70℃以上のお湯を使用しても、調乳後のミルクが完全な無菌状態になるわけではありません。

手洗い、器具の洗浄、温度管理、授乳までの時間をすべて意識することが、赤ちゃんを守ることにつながります。

粉ミルクの容器に記載されている作り方や、医師・助産師から受けた指示がある場合は、そちらを優先してください。

参考資料
・厚生労働省「哺乳ビンを用いた粉ミルクの調乳方法」
・厚生労働省「乳児用調製粉乳の安全な調乳、保存及び取扱いに関するガイドライン」
・世界保健機関・国連食糧農業機関「乳児用調製粉乳の安全な調乳、保存及び取扱いに関するガイドライン」

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