信念の産科医が語る「お産」の真実
赤ちゃんにとって母乳に勝る栄養源はない。母乳育児が推進されるのは当然である。しかし「完全母乳哺育」となると話は違ってくる。完全母乳とは赤ちゃんには母乳以外のものは水一滴与えてはならないという考え方で、十分量のおっぱいが出るまで赤ちゃんは飢えと渇きを我慢しなければならない。そもそも、母乳といえども完全無欠の栄養源ではない。ビタミンKなど不足する栄養素もある。しかし現在、学会では「完全(排他的)母乳主義=赤ちゃんには母乳以外のものは水一滴も与えてはならない」と「出生直後の母子接触、通称カンガルーケア=産湯や保育器は悪である」の考えが席巻している。これに表立って反対する者はほとんどいない。しかし、現実には低血糖による脳障害の例やカンガルーケア中の心肺停止も多数報告されているのである。「産湯」や「乳母・もらい乳」は赤ちゃんを病気から守る先人の知恵であると説く久保田は、増加する発達障害や乳幼児突然死症候群(SIDS)対しても説得力に富む仮説を提唱している。読者は、圧倒的主流派に屹然として立ち向かう産科医久保田史郎の雄叫びを聞くであろう。
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