2007年1月、産婦人科医・小児科医・助産師は、
カンガルーケアの危険性を知っていた
日 時: 2007年1月31日(水) 14:00〜16:00
場 所: 女性と仕事の未来館 第1セミナー室
出席者:
委員
柳澤座長、朝倉委員、今村委員、岩田委員、瀧本委員、堤委員、鱒渕委員、宮下委員、向井委員、山城委員、吉池委員
第4回「授乳・離乳の支援ガイド(仮称)」策定に関する研究会議事録から抜粋

○朝倉委員(産婦人科医)
どうしても言いたいことがあるのですが、カンガルーケアは、確かに非常に理想的なやり方だと思うのですが、ただどうも安全性というものがまだ確立されていないし、有効性もまだ確立されていないようなのです。というのは、産婦人科医会で医会報というものが出ていますけれども、1月の医会報でカンガルーケアに対する警鐘の記事が出ました。私自身は検証していないのでわかりませんが、そういうことがあるので、この事例の中でカンガルーケアについて書くということは、厚生労働省がお墨付きを出したように取られないか。やってはいけないということではないですけれども、安全面で非常に注意してやることが必要だと、どこかにそういう警鐘を鳴らしておかないといけない。国がこぞって勧めているという印象で取られるのは、少し時期尚早という感じがしたのです。
○柳澤座長(小児科医)
どうもありがとうございます。ただ今のご意見に対して他の委員の方からはどうでしょうか。今村委員、どうぞ。
○今村委員(産婦人科医)
 私も、朝倉委員と同じ懸念を非常に強く持っています。といいますのも、もう10年も前になりますが、新生児にうつ伏せ寝させるのが、非常に短期間ではありますけれども一時推奨された時期があり、全国の産科医療機関でそれを多くの者が見習ったのですが、突然死症候群というのが言われてきて、今ではほとんど「やめなさい」ということになっています。カンガルーケアが同じような経緯をたどるとは思いませんけれども、こういうものを勧めるときには、よほどの注意が必要だろうと思います。実際に、本当にカンガルーケアが原因なのかどうかはわかりませんが、事故例が報告されているということを考えてみましても、やはり相当の注意というのが必要なのではないかと思います。
○柳澤座長
 ありがとうございます。他にございませんか。どうぞ、宮下委員。
○宮下委員(助産師)
 私も、カンガルーケアの利点、それからデメリットについても、赤ちゃんが静かに休むということなのですが、呼吸状態に異常を起こすという症例も報告を受けています。ただ、そういった中で、カンガルーケアをすることによって、赤ちゃんがとても安心したり、体温の上昇につながったりというメリットもとても大きいので、肌と肌の触れ合いの部分で、言葉の使い方を変えて載せられるとよいのではないかと思います。そして母親と赤ちゃんが一緒にいるときは必ず医療者がそばにいるなどの注意書きを入れるとか、もしくはこういう状態になったらきちんと連絡するとか、そういうものを附帯するというのはいかがでしょうか。
○柳澤座長(小児科医)
 他にございますか。今ご指摘があったように、ここではカンガルーケアという言葉は使っていませんけれども、生まれたらすぐに母親と肌を接するということに関しては、もちろんメリットも大きいと私自身も思っていますが、注意すべき点もあるということをこのガイドにも何らかの形で記載する必要があるというご意見だったと思います。
厚生労働省雇用均等・児童家庭局 母子保健課 予算係
電話03−5253−1111(内線7936)

委員の紹介
・朝倉啓文委員(日本医科大学教授 第二病院女性診療科・産科部長)
・今村委員(日本医師会常任理事・産婦人科開業医)

・瀧本秀美委員(国立保健医療科学院生涯保健部母子保健室長)
東京医科歯科医学部卒業、産婦人科医(栄養学が専門)
裄V正義委員(恩賜財団母子愛育会日本子ども家庭総合研究所所長)、元東京大学小児科教授
・岩田力委員(東京家政大学教授、)
 元東京大学小児科助教授
・山城雄一郎委員(順天堂大学医学部小児科学講座教授) 日本小児科学会副会長
・吉池信男委員(独立行政法人国立健康・栄養研究所国際産学研究センター長)
宮下美代子委員(みやした助産院院長、助産師)
・堤ちはる委員(恩賜財団母子愛育会日本子ども家庭総合研究所栄養担当部長)
1979年日本女子大学家政学部食物学科卒業。母子栄養学、保健栄養学
・鱒渕清子委員(栃木県真岡市役所健康増進課副主幹、看護協会第2副会長)
・向井美恵委員(昭和大学歯学部教授)