お産に産科麻酔(無痛分娩)は必要か?
 分娩時の過度の痛みは産婦に過呼吸を招き、胎児仮死の原因となる低酸素血症を引き起こす事があります。
 その理由は、過呼吸によって生じた低炭酸ガス血症が産婦の血管収縮をひきおこし、子宮血流量を減少させて胎児に低酸素血症を招くからです。
 その時、麻酔によって痛みを取ると産婦の過呼吸は改善し、子宮血流量は正常となり胎児は再び元気を取り戻します。強過ぎるお産の痛みを我慢する事は、まさに百害あって一利無しなのです。しかし、我国のお産は昔も今も自然分娩が主流で、お産は痛くて当たり前と思い込み、勘違いをしている人が多い様です。欧米先進国では無痛分娩が主流なのに、何故か、我国では一般的ではありません。
 産科麻酔はお産の痛みを取る事だけが目的ではなく、痛みに伴うストレスから赤ちゃんを守るためにも、また麻酔の持つ筋弛緩作用によって産道と会陰部を和らげ、赤ちゃんをよりスムーズに娩出可能とするためにも現代のお産に無痛分娩は不可欠です。
 産婦にとって痛過ぎない、そして胎児にとって安全な出産こそが、我国の少子化に歯止めをかける可能性を秘めているのです。
5/5/2003