上図は、自然分娩経過中に産婦さんに過呼吸が生じた時の赤ちゃんの心拍数と子宮収縮(陣痛)を記録した胎児心拍陣痛計(分娩監視装置)の記録です。上段左方の陣痛の山にかさなって記録されたスパイク状の線は過呼吸による呼吸運動が記録されたものです。その時胎児心拍数は100/分以下に下降し胎児切迫仮死(赤ちゃんが仮死になりそうな状態)が出現しています。麻酔をすると約5分後には痛みが3/10まで軽くなり過呼吸がなくなり、約10分後以降(下段)では胎児心拍も正常化しています。
 このように産科麻酔は、お産の過度の痛みを軽減させると同時に痛みに対する不安から来るストレスを取り除き、お産を安全なものにする効果もあるのです。