無痛分娩法の種類、その長所と短所 　麻酔法は、（1）全身麻酔、（2）局所麻酔に大別されます。両者は、産婦の意識の有・無（意識レベルの違い）、麻酔範囲（全身・局所）、筋弛緩の有・無など使用する麻酔薬と方法によって麻酔作用は大きく異なります。 全身麻酔法の長所と短所 　全身麻酔法は、吸入麻酔や静脈麻酔など使用する薬剤の種類によって、また使用時期によって、これまで多くの方法が試みられました。しかし母児への副作用、特に産婦の意識が低下することから通常のお産には不向きであるとして本法による無痛分娩の頻度は次第に減ってきました。 長所：？ 短所：意識がない 1） 分娩第2期では、反射的に“嘔吐”がみられることがあります。意識がないために胃液や胃内容物を肺へ誤飲する危険性があり、そのため麻酔開始の10時間以上前から絶飲食するなど計画分娩にならざるを得ません。 2） 児娩出の際、意識が無いために“イキミ”即ち、腹圧をかけることが不可能なため、吸引分娩になる可能性が多くなることが指摘されています。 3） 分娩第3期の異常出血など予期せぬリスクが多い分娩において、呼吸機能を低下させ、意識を完全にとる全身麻酔法は危険と言わざるを得ません。 4） 意識がないので、産婦は児娩出の実感および充実感を得られないばかりか、“産声”を聞けない事から出産に対する満足感を得にくいことが指摘されています。 　産婦の意識を低下させる全身麻酔による無痛分娩法は、上記の理由から産婦にとって危険と言わざるを得ません。その為に、我国でも意識をとらない局所麻酔法による無痛分娩が主流となってきました。