リビング福岡 12月15日掲載記事

質問
赤ちゃんを温めすぎると良くないと聞いたのですが、どうしてですか?

解答
 長時間にわたって保育器の温度を上げ過ぎると赤ちゃんの呼吸が止まり危険です。赤ちゃんも他の恒温動物と同様に熱の産生と放出を調節して体温を維持します。放熱は皮膚で行うため皮膚の周りの温度や湿度が低いことが必要です。
 大人と違って赤ちゃんは自分で服や靴下を脱いだり、布団をけ飛ばすことができません。赤ちゃんは皮膚の周囲の温度や湿度が高くなると、眠りやすくなると同時に、心臓や肺を動かす刺激が弱くなります。このような状態では、呼吸が浅くなって酸素が不足しても心拍や呼吸は強くならず目覚めも起きません。こうして低酸素状態が進行し、肺や心臓の機能が回復しなくなった状態が乳幼児突然死症候群(SIDS)と考えられます。
 赤ちゃんは頭やおなかや手足から多くの熱を放出するので、うつ伏せ寝や着せ過ぎでは放熱が強く障害されるのです。寒い冬は風邪気味の赤ちゃんにはたくさん着せようとします。ミルクは少し熱めにすることが多く赤ちゃんが温まりやすくなります。赤ちゃんは寒さに弱いと思われがちですが、熱さにはもっと弱いのです。寝返りや硬い布団はすき間を作り、空気の出入りで温度や湿度を下げます。
 赤ちゃんが寝ている時の布団の中の温度や湿度が適当であるかどうかは、手足の温かさや発汗の有無を調べると分かります。寒い時は泣いて知らせますが、暑い時は何も言わずに眠り続けるのです。当院のHPにSIDSの予防10ヶ条があります。