リビング福岡 6月22日掲載記事

質問
初めての妊娠です。お産の痛みが怖いのですが何かよい方法はありますか?
第1回「お産の痛みを我慢するメリットは何でしょうか」

解答

 わが国は自然分娩が主流です。昔から、お産は痛くて当り前/痛みを我慢するのが女性の美徳/痛みを乗り越えてこそ赤ちゃんに愛情が深まると言われて来ました。真実でしょうか。欧米ではお産の90%以上が無痛分娩です。その理由のひとつに、分娩時の過度の痛みが妊婦さんの過呼吸や血管の異常収縮を招き、赤ちゃんに悪影響(低酸素血症→胎児仮死)を与えることがあるからです(ラマーズ法などは過呼吸の予防のためなのです)。その際、過度の痛みを和らげることがそのような胎児仮死の予防や治療となりますが、なぜか、わが国のお産の本ではそのことについてほとんど言及していません。

 最近の妊婦さんは少しでも楽な痛くない快適なお産を望まれています。お産の痛みも様々です。無痛分娩も、眠ったままお産をする方法(全身麻酔法)から、最も痛い出産前(分娩第2期)の腰痛や会陰部の痛みを取るだけの麻酔(陰部神経ブロック=和痛分娩)まで様々です。
 当院のアンケートでは9割以上の妊婦さんは分娩第T期の我慢可能な産痛はむしろ経験したいと考え、我慢できない分娩第2期の痛み、即ち産道と会陰部の局所麻酔を希望されました。多くの方が陣痛の波をほどほどに感じ、お産の瞬間を自分の目で確認し、元気な産声を聞くことが可能な、肉体的にも精神的にもより満足度の高い安全なお産を希望されているようです。次回は「お産の痛みとは?」です。