この記事には広告が含まれます。本記事は情報提供を目的としたもので、医学的判断や診療に代わるものではありません。妊娠・持病・服薬などで不安のある方は、医師・薬剤師・助産師にご相談ください。
「妊娠検査薬で陽性が出た。うれしいはずなのに、葉酸サプリを飲んでいなかったことが急に不安になってきた」
「葉酸は妊娠前から飲むものと書いてあるサイトばかりで、今から始めても遅いのか誰も教えてくれない」
この記事は、そんな不安を抱えている方のために書いています。
先に結論をお伝えします。
妊娠がわかった今日から葉酸を始めることには、はっきりとした意味があります。「もう遅いから飲まなくていい」ということはありません。
なぜそう言えるのか、医学的な根拠を順番に説明します。あわせて、「妊娠前から飲んでいなかったこと」をどう受け止めればよいかについても、産婦人科医の立場からお話しします。
「妊娠前から」と言われる理由をまず正しく知る
葉酸が「妊娠前から」推奨されるのは、赤ちゃんの脳や脊髄のもとになる「神経管」が、妊娠のごく初期(受精から約4週間、妊娠週数でいうと妊娠6週末ごろまで)に作られるためです。
この時期に葉酸が十分にあると、神経管閉鎖障害(二分脊椎など)の発症リスクを低減できることが研究で報告されており、厚生労働省も妊娠を計画している女性に対して、妊娠の1か月以上前から妊娠3か月までの間、食事に加えてサプリメントなどから1日400μgの葉酸を摂ることを推奨しています。
一方で、多くの方が妊娠に気づくのは、生理の遅れを確認する妊娠4〜6週ごろです。つまり「神経管が作られる時期」と「妊娠に気づく時期」が重なっているために、「妊娠前から」という推奨になっているのです。
神経管閉鎖障害について詳しくは、こちらの記事で解説しています。 → なぜ妊娠前から葉酸が必要なのか
それでも「今から」始める意味がある3つの理由
理由1:神経管の形成が続いている時期である可能性があるから
妊娠がわかった時点が妊娠4〜5週であれば、神経管の形成はまだ完了していない時期にあたります。気づいたその日から葉酸を満たしておくことには、時期的な意味があります。
「もう6週を過ぎてしまった」という方も、次の理由2・3を読んでください。葉酸の役割は、神経管の時期だけで終わるものではありません。
理由2:葉酸は妊娠の全期間を通じて必要な栄養素だから
葉酸は、細胞分裂やDNAの合成、赤血球の形成に関わる栄養素です。赤ちゃんが急速に成長する妊娠中期・後期も、お母さんの血液量が大きく増える時期も、葉酸の必要量は妊娠していないときより多い状態が続きます。
実際、厚生労働省の食事摂取基準では、妊娠中期・後期にも通常より多い葉酸の付加量が設定されています。「神経管の時期を過ぎたら葉酸は不要」というのは誤解です。
時期ごとの必要量はこちらで詳しく解説しています。
→ 葉酸は1日どれくらい必要?
→ 葉酸サプリはいつからいつまで飲む?
理由3:貧血対策など、お母さん自身の体のためでもあるから
葉酸はビタミンB12とともに赤血球を作る働きに関わります。妊娠中は貧血になりやすく、葉酸が不足するとその一因になることがあります。葉酸を満たしておくことは、赤ちゃんのためだけでなく、妊娠を続けるお母さん自身の体調管理の面でも大切です。
「飲んでいなかったこと」を責めなくていい理由
ここからが、この記事でいちばんお伝えしたいことです。
妊娠前に葉酸を飲んでいなかったからといって、赤ちゃんに問題が起こると決まったわけではまったくありません。
- 神経管閉鎖障害は、もともと頻度の低い疾患です(日本では出生1万人あたり数人程度と報告されています)
- 発症には遺伝的な要因など複数の因子が関わっており、葉酸だけで決まるものではありません
- 葉酸は通常の食事(緑黄色野菜、納豆、果物など)からもある程度摂れています。「サプリを飲んでいなかった=葉酸ゼロ」ではありません
「妊娠前から飲んでいれば100%防げたのに」というものではなく、「リスクを下げる手段のひとつ」というのが葉酸の正しい位置づけです。過去を悔やむより、今日から必要な量を満たすことに気持ちを切り替えるのが、医学的にも合理的な選択です。
どうしても不安が消えない場合は、妊婦健診の際にかかりつけの産婦人科医に率直に相談してください。あなたの週数と状況に合わせた説明を受けることが、いちばんの安心につながります。
今日から葉酸を始める3ステップ
ステップ1:1日400μg(モノグルタミン酸型)を目安にする
厚生労働省が推奨しているのは、サプリメントなどに使われる「モノグルタミン酸型」の葉酸で1日400μgです。食品に含まれる葉酸(ポリグルタミン酸型)とは吸収率が異なるため、サプリの表示を確認しましょう。
ステップ2:摂りすぎには注意する
「飲んでいなかった分を取り返そう」と多めに飲むのは逆効果です。サプリメント由来の葉酸には耐容上限量が設定されています。複数のサプリを重ねて飲まず、1つの商品の目安量を守ってください。
ステップ3:続けやすいサプリを1つ選ぶ
葉酸サプリは妊娠初期から出産まで飲み続けるものなので、葉酸400μgを満たしていることを前提に、価格・飲みやすさ・鉄分などの他の栄養素で選ぶのが失敗しないコツです。
妊娠中の方は、妊娠期の栄養バランスを意識した商品(鉄分・カルシウムなどを含むもの)が候補になります。
→ 葉酸サプリおすすめ比較18選
→ ママル葉酸サプリの口コミ
よくある質問
Q. 妊娠7週です。今から飲んでも意味がありますか?
A. あります。神経管の形成時期は過ぎていますが、葉酸は妊娠の全期間を通じて、赤ちゃんの発育とお母さんの造血のために必要な栄養素です。今日から1日400μgを目安に始めてください。
Q. 妊娠前に飲んでいなかったことを健診で言うべきですか?
A. 隠す必要はありませんし、責められることでもありません。不安があれば率直に伝えてください。医師はあなたの週数に応じた説明をしてくれます。
Q. 食事だけで補うのではだめですか?
A. 食事からの葉酸摂取はもちろん大切ですが、妊娠中に推奨される量を食事だけで毎日安定して満たすのは現実には簡単ではありません。詳しくは食品まとめの記事をご覧ください。
→ 葉酸が多い食品まとめ
Q. 葉酸サプリを飲めば神経管閉鎖障害を防げますか?
A. 「防げる」と断定することはできません。葉酸の十分な摂取は発症リスクの低減と関連することが報告されていますが、発症には複数の要因が関わります。リスクを下げる手段のひとつとして位置づけてください。
まとめ:始めるのに「遅すぎる」タイミングはない
- 葉酸が「妊娠前から」推奨されるのは神経管が作られる時期のためだが、葉酸の役割はその後も妊娠全期間続く
- 妊娠がわかった時点から始めることに、はっきりとした意味がある
- 飲んでいなかった過去を責める必要はない。神経管閉鎖障害は多因子性で、葉酸だけで決まるものではない
- 今日から1日400μg(モノグルタミン酸型)を目安に、摂りすぎに注意して1つの商品を続ける
まずは、妊娠中に選びやすい商品を比較するところから始めてみてください。