「家に水道水しかないけど、買い置きのいろはすでミルクを作っていい?」「外出先でペットボトルの水しか手に入らない」——調乳中のご家庭でよくある場面です。ペットボトルの水は銘柄によって硬度(ミネラル量)が大きく違うため、使えるものと避けたいものがあります。
先にお伝えすると、硬度が低い軟水(目安:硬度60mg/L以下)なら調乳に使えます。ただし純水タイプ以外は、そのまま溶かすのではなく70℃以上に加熱してから使います。この記事では、硬度の考え方、主な銘柄別の可否、加熱が必要な理由、災害時・外出時の使い方までを整理します。
結論:軟水ならOK、硬水はNG。ただし「加熱は必要」
赤ちゃんの腎臓は未発達で、ミネラルの多い水(硬水)は負担になります。粉ミルクはもともと必要な栄養が計算されているため、水側のミネラルは少ないほど設計どおりになります。このため調乳に使う水は、硬度の低い軟水か、ミネラルをほぼ含まない純水・RO水が適しています。日本の水道水はほとんどの地域で軟水なので、実は水道水も条件を満たしています(詳しくは調乳に水道水は使える?を参照)。
もうひとつ大事なのが温度です。加熱が必要なのは水の殺菌のためだけではなく、粉ミルク側にまれに含まれる菌(サカザキ菌など)を減らすためです。つまり「きれいな水だからそのまま溶かしてOK」にはならず、純水であっても粉ミルクを溶かすお湯は70℃以上が原則です(厚生労働省・WHOのガイドライン。理由の詳細は粉ミルクの正しい作り方へ)。
銘柄別:調乳に使える?使えない?
主なペットボトル水の硬度の目安と可否です。硬度は採水地やリニューアルで変わることがあるため、最終判断は必ずラベルの「硬度」表示で確認してください。
| 銘柄 | 硬度の目安 | 調乳に使える? |
|---|---|---|
| ピジョン 純水/和光堂 ベビーのじかん 赤ちゃんの純水 | ほぼ0(純水) | ◎(調乳用に設計) |
| い・ろ・は・す | 約28〜40mg/L(採水地で異なる) | ○(軟水) |
| サントリー天然水(南アルプスなど) | 約20〜80mg/L(採水地で異なる) | ○(ラベル要確認) |
| アサヒ おいしい水 天然水 | 約30mg/L前後 | ○(軟水) |
| クリスタルガイザー | 約38〜67mg/L(採水地で異なる) | ○〜△(ラベル要確認) |
| キリン アルカリイオンの水 | 約59mg/L | △(軟水だが上限付近) |
| エビアン | 約300mg/L(硬水) | ✕ |
| ヴィッテル | 約300mg/L超(硬水) | ✕ |
| コントレックス | 約1400mg/L超(超硬水) | ✕ |
見分け方はシンプルで、「国産の天然水はだいたい軟水でOK寄り、海外産(欧州産)は硬水が多くNG寄り」です。迷ったらラベルの硬度が60mg/L以下かどうかを基準にしてください。硬度と軟水・硬水の考え方は赤ちゃんに軟水?硬水?で詳しく解説しています。
メーカー公式の見解:いろはすは「そのまま飲ませてOK」
い・ろ・は・すについては、日本コカ・コーラの公式FAQで「赤ちゃんがそのまま飲んでも大丈夫」と案内されています。硬度の低い軟水であることに加え、製造時に加熱殺菌・無菌充填されているためです。つまり、未開封のいろはすは煮沸せずに「湯冷まし代わり」として使えます。ミルクを70℃以上のお湯で溶かしたあと、人肌まで下げるために注ぎ足す使い方なら、そのままでOKです。
ここで混同しやすいのが、「そのまま飲ませてOK=加熱なしで粉ミルクを溶かしてOK」ではないという点です。前述のとおり、70℃以上が必要な理由は水ではなく粉ミルク側の菌にあります。「溶かすお湯は70℃以上」「冷ます用・飲用はそのままOK」と2段階で覚えてください。
ペットボトル水で調乳する手順
- ①ラベルで硬度を確認:60mg/L以下の軟水、または赤ちゃん用純水を選びます。
- ②70℃以上に加熱:ケトルや電子レンジ対応容器で沸かします。純水タイプでも粉ミルクを溶かす分は加熱が必要です。
- ③粉ミルクを溶かし、湯冷ましや流水で人肌まで冷ます:冷ます用の水にも軟水・純水を使えます(未加熱でOKなのはこちらの用途)。
なお「冷ます用」として未開封のペットボトル軟水を注ぎ足す方法は、外出先で時短になります。作ったミルクの持ち歩きや保存は別の注意が必要なので、ミルクの作り置き・温め直しもあわせてご覧ください。
開封後のペットボトルは早めに使い切る
ペットボトルは開封した瞬間から雑菌が入ります。口を付けていなくても、開封後は冷蔵庫で保管し、調乳用としてはその日のうちに使い切るのが安心です。大容量(2L)を数日かけて使うより、500mlをこまめに開けるほうが調乳向きです。飲みかけ(口を付けたもの)は調乳に使わないでください。
こんな場面ではペットボトル調乳が活躍
- 外出・帰省先:お湯は魔法瓶で持参し、冷ます用に軟水ペットボトルを現地調達(お湯の持ち歩きは水筒で何時間もつ?を参照)。
- 災害・断水時:備蓄の軟水があれば調乳を続けられます。カセットコンロなど加熱手段もセットで備えましょう。液体ミルクとの併用も有効です(液体ミルクとは?)。
- 水道水に不安があるとき:集合住宅の貯水槽清掃日や断水明けなど、一時的な代替として。
毎回ペットボトルは高い?コストの現実
調乳に使う水は1日500ml〜1L程度。すべてペットボトル(500ml×2〜3本)でまかなうと月4,000〜6,000円ほどになり、加熱の手間も毎回かかります。「軟水がそのまま70℃前後で出てくる」環境を作れるのがウォーターサーバーで、水代はかかるものの加熱・硬度確認の手間がゼロになります。毎回のペットボトル購入と比べてどちらが合うかは、使う量と夜間授乳の負担で判断するのがおすすめです。
よくある質問
いろはすでミルクを作ってもいいですか?
い・ろ・は・すは全国どの採水地でも軟水(硬度約28〜40mg/L)なので、70℃以上に加熱すれば調乳に使えます。念のためラベルの硬度表示も確認してください。
いろはすを湯冷まし代わりにそのまま注ぎ足していいですか?
未開封のものを清潔な容器経由で使うなら問題ありません。加熱殺菌・無菌充填されているため煮沸は不要です。口を付けたボトルからの注ぎ足しは避けてください。
赤ちゃん用の純水なら加熱せずそのまま使えますか?
粉ミルクを溶かす工程には70℃以上のお湯が必要です。これは粉ミルク側の菌を減らすためで、水がきれいかどうかとは別の話です。純水が未加熱で使えるのは、溶かした後に「冷ます用」として足す場合です。
海外製のミネラルウォーターしかないときは?
エビアンなどの硬水は調乳には向きません。緊急時にどうしても他に水がない場合の一時使用について厚生労働省は許容していますが、常用は避け、軟水か純水が手に入り次第切り替えてください。
炭酸水やフレーバーウォーターは使えますか?
使えません。炭酸や香料・糖分の入った水は調乳には不適切です。無糖・無香料の「水(ナチュラルウォーター・純水など)」だけが対象です。
まとめ
ペットボトルの水は、硬度60mg/L以下の軟水か赤ちゃん用純水であれば調乳に使えます。国産の天然水はほぼ軟水なのでOK寄り、エビアンなど欧州産の硬水はNGです。ただしどの水でも、粉ミルクを溶かすお湯は70℃以上への加熱が必要という原則は変わりません。開封後はその日のうちに使い切り、外出時や災害への備えとして上手に活用してください。毎日の調乳をまるごと楽にしたい場合は、軟水が適温で出るウォーターサーバーも選択肢になります。
参考:WHO・FAOおよび厚生労働省の乳児用調製粉乳の安全な調乳・保存・取扱いに関するガイドライン(2007年)(厚生労働省サイト)=調乳は70℃以上のお湯で。各銘柄の硬度は各社公式サイトの公表値を目安として記載しています。