「雪の日、良かれと思って熱めのお風呂に入れたら、赤ちゃんの呼吸が止まった」
これは、私が実際に直面した、あるご家族の緊迫したSOSです。
幸い、すぐに冷たい外気に触れさせたことで赤ちゃんは元気に泣き出し、一命を取り留めました。
寒くなると増える、乳幼児突然死症候群(SIDS)
「原因不明」と言われることが多いこの悲しい出来事ですが、私は長年の臨床データと先ほどのお風呂の出来事から、ある一つの明確な原因に辿り着きました。
それは、親の愛情ゆえにやってしまう「着せすぎ・温めすぎ(うつ熱)」です。
「赤ちゃんは寒さに弱いから、風邪をひかないように厚着をさせなきゃ」
その常識が、実は赤ちゃんの命を静かに脅かしているかもしれないのです。
なぜ「温めすぎ」が呼吸を止めてしまうのか?

赤ちゃんが生まれた瞬間に「オギャー!」と泣くのはなぜでしょうか?
それは、外の冷たい空気に触れたことで、全身の筋肉を緊張させて泣き、自ら「熱」を作り出して体温を保とうとするからです。
寒さ(冷たい刺激)は、赤ちゃんにとって生きるためのスイッチなのです。
では逆に、布団や衣服でぐるぐる巻きにされ、温められすぎるとどうなるでしょうか。
体温が上がりすぎた赤ちゃんは、「これ以上熱を作ったら危険だ!」と判断し、筋肉をだらんと弛緩(リラックス)させて熱を作らないようにします。
すると、脳から呼吸筋への刺激も減少し、深すぎる眠りに落ちてしまいます。
寝返りもできず、暑い布団から逃げ出すこともできない赤ちゃんは、静かに眠り続けたまま「低酸素状態」に陥り、最悪の場合、呼吸が止まってしまうのです。
欧米のデータでも「SIDSで亡くなった子は、厚着で汗をかき、体温が高かった」という報告が多数存在します。
「うつぶせ寝」が危険な本当の理由と、命を守る対策

SIDSの予防として「うつぶせ寝をやめよう」とよく言われますが、これは「顔が埋まって窒息するから」というだけの理由ではありません。
赤ちゃんにとって、お腹は大切な「放熱の窓」です。
うつぶせに寝かされると、お腹からの放熱が妨げられ、体の中に熱がこもって体温が異常に高くなってしまう(=深すぎる眠りに落ちてしまう)ため、非常に危険なのです。
SIDSから大切な赤ちゃんを守るため、今日から以下のことを見直してください。
「大人のマイナス1枚」を意識する
赤ちゃんは新陳代謝が活発です。靴下やミトンで手足を覆い隠すのはやめ、熱を逃がせるようにしましょう。
仰向けで寝かせる
お腹からしっかりと放熱させ、熱がこもるのを防ぎます。
暖房や寝具の温めすぎに注意
汗ばんでいたら、それは「暑すぎる」という赤ちゃんからのSOSです。
赤ちゃんは「寒さ」には泣いて抵抗できますが、「暑さ」には静かに眠り込んでしまうため、大人が気づきにくいという恐ろしさがあります。
過度な保温をやめ、赤ちゃんの「生きる力(自発呼吸)」を妨げない環境を作ってあげましょう。

監修:久保田 史郎(医学博士・産婦人科医)
久保田生命科学研究所所長。元久保田産婦人科麻酔科医院院長。
1万5,000例を超える臨床データに基づき、新生児の「保温」と「飢餓防止」を柱とする独自の「久保田理論」を提唱する周産期医療のスペシャリスト。
(圧倒的な実績)
重症黄疸の激減、およびNICU搬送率0.41%(全国平均を大幅に下回る水準)を自院にて実現。
(科学的エビデンス)
『Neonatology』『Nutrients』など、世界的な医学専門誌に論文が多数掲載。
(社会への提言)
従来のカンガルーケアや完全母乳推進が孕むリスクに警鐘を鳴らし、発達障害の予防と国民医療費の削減を目指す。
「37℃の科学」によって赤ちゃんの未来を守るための活動は、多くの親御さんのみならず医療関係者からも高い関心を集めている。
久保田史郎の安産大学 – YouTubehttps://www.youtube.com/user/kubotamc2012


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